委託先団体:(地独)東京都立産業技術研究センター
1.事業概要
大量消費社会から循環社会への変革において、付加製造技術は金型レスでオンデマンド生産に対応でき、かつ一体化や最適設計と合わせて工程削減、高性能化を実現できるため、次世代ものづくりのゲームチェンジャーとして期待されている。
一方、従来の付加製造技術は主に性能向上に焦点が当てられており、環境負荷低減や循環社会の構築についてはほとんど検討されていない。
本テーマでは、樹脂を中心とした付加製造技術の環境負荷低減に向け、材料使用量削減や再利用率向上、部品のリサイクルなど3R関連の技術的課題を精査して研究開発戦略を策定する。さらに樹脂部品の活用が進む自動車産業への導入を見据えた市場戦略を明確化する。
2.事業の目的
2-1.背景・必要性
現代社会では、非常に多くの樹脂製品が大量生産され、余剰品も含め大量に廃棄されている。持続可能社会の構築において、樹脂部品の生産に係る環境負荷低減が急務である。対策の一例に付加製造を活用したオンデマンド生産があり、造形技術の高性能化が進められてきた。
一方で、付加製造技術自体の環境負荷低減についてはあまり議論されず、現状は非常に無駄の多いプロセスとなっており、これが普及の大きな障壁になり得る。
2-2.対象領域
樹脂部品、特に自動車樹脂部品の低環境負荷な付加製造技術(GX-AM)によるオンデマンド生産を本テーマの社会導入・事業化を狙う対象領域とする。
ただし、本テーマ実施による効果は、自動車部品以外の最終製品等実用部品の生産に限定されず、すでに国内でも広く実施されている付加製造技術による試作品や治具の製作にも波及する。
3.事業の内容
3-1.技術的な課題、機械システム構成・開発上の課題
[1] 造形時の樹脂使用量削減
[2] 造形用樹脂材料の再利用率向上
[3] 造形物のマテリアルリサイクル
3-2.課題への対応(実施事項と課題解決のアプローチ)
[1] 部品生産を前提とした付加製造技術に対する環境対応樹脂の使用および環境対応フィラの添加を検討する。フィラの添加量を増やすための混合方法および粉末化方法についても検討する。
[2] 現状の造形前後の材料について劣化状態を詳細に把握して、再利用率向上のための対策を検討する。また造形時の材料劣化を抑える可能性のある造形プロセスを実施し、その有効性について検証する。
[3] マテリアルリサイクルに向けて造形物を粉砕し、粉砕物を分析、評価する。さらに粉砕物を再度造形用材料とするための粉末化プロセスについても検討する。
4.社会導入、事業化の戦略検討
4-1.社会導入、事業化に向けた課題
[1] 環境対応型材料供給に係るビジネスモデルの構築
[2] 自動車用電装部品の要求仕様への対応
[3] 開発技術の用途拡大
[4] 開発技術の信頼性向上
4-2.社会導入、事業化に向けた実施事項
[1] サプライチェーン構築に向けた材料加工プレイヤー候補を抽出し、ビジネスモデルについて検討する。
[2] 電装部品筐体に対する付加製造した部品の使用可能性について把握する。
[3] 用途開発に向けて開発技術の環境負荷、部品生産コストについて試算する。
[4] 開発技術を含む付加製造(部品)の標準化・規格整備に向けた課題を抽出する。
5.実施体制
プロジェクトリーダー: 山内 友貴(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター)
プロジェクトマネージャー: 小林 丈士 (地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター)
戦略策定委員会委員長: 新野 俊樹(東京大学生産研究所)

6.お問い合わせ先
イノベーション戦略策定事業全般:(一財)機械システム振興協会
URL: https://www.mssf.or.jp/
本事業の詳細:(地独)東京都立産業技術研究センター
URL: https://www.iri-tokyo.jp/