使用済水処理用逆浸透(RO)膜の国際的カスケード利用に関する戦略策定(令和7年度イノベーション戦略策定事業 計画概要)

委託先:(一財)造水促進センター

1.事業概要

 日本国内で純水製造に使用される水処理用逆浸透(RO)膜は、大幅な性能低下が生ずる前に膜交換が実施され、年間に数万本廃棄されている。そこで、自動車に中古車市場が存在するように、RO膜にも中古膜(再生膜)の市場を新たに創出すべく、使用済廃棄RO膜を再利用する新規なビジネスモデルを策定したい。
 使用済RO膜の二次用途として、カスケード利用先の調査や、洗浄による性能回復性を評価検証し、海外の市場状況を調査し、世界的な水不足の解消や廃棄物削減への寄与を明確にするとともに、新規のRO膜ビジネス市場を形成し、我が国企業の活性化につなげる。

2.事業の目的

2-1.背景・必要性

 日本企業のRO膜の世界シェアは50%を超えているが、近年、海外製の低価格RO膜の出現によりシェアが低下傾向にある。そこで、国内で廃棄されているRO膜を二次活用するビジネスモデルが策定できれば、新たな市場として膜メーカーやそれを用いる水処理企業の活性化につなげることができる。
 現在、RO膜は、性能が低下して水供給が出来なくなる可能性が高まらないうちに定期メンテナンスのタイミングで廃棄されている。そのため、十分な性能を有している膜や薬品洗浄などで性能回復が可能な膜が、日本国内で年間に数万本は廃棄されている状況である。また、日本においては使用済RO膜を再利用するニーズが無く、使用済RO膜の再利用は進んでいない。しかし、廃棄物削減、産廃処分場のひっ迫、水回収コストの削減などを鑑みると使用済RO膜を有効利用することが、サーキュラーエコノミーの観点からも必要となってきている。

2-2.対象領域

 工場から排出される使用済RO膜を対象とし、使用済RO膜の国際的カスケード利用ビジネスとする。

3.事業の内容

 この事業は、日本国内で排出される使用済RO膜を需要が多い地域に輸出することで、資源としてのRO膜を有効利用することができるようなビジネス環境を実現するための戦略を策定するものである。

 具体的な検討事項は、以下のとおり。
[1] 使用済RO膜の洗浄回復性
[2] 再生RO膜の適用性
[3] 使用済RO膜、再生RO膜の輸送、保管方法

4.社会導入、事業化の戦略検討

 社会導入、事業化に向けては使用済RO膜の排出元の確保や理解、輸出先での使用済RO膜の購入相手の確保とビジネス環境の整備に加え、輸出に伴う問題(輸送中の品質変化や輸送手段・輸送費)の解決が必要となる。

 具体的な検討事項は、以下のとおり。
[1] ビジネスモデルの構築
[2] 再生RO膜の経済性検討
[3] 使用済みRO膜の国際的カスケード利用に関する戦略の取りまとめ

5.実施体制

プロジェクトリーダー: 池辺 弘昭 氏(一般財団法人造水促進センター)
プロジェクトマネージャー: 大熊 那夫紀 氏(一般財団法人造水促進センター)
戦略策定委員会委員長: 岩崎 英夫 氏(J D A協会理事長)

6.お問い合わせ先

イノベーション戦略策定事業全般:(一財)機械システム振興協会
URL: https://www.mssf.or.jp/

本事業の詳細:(一財)造水促進センター
URL: http://www.wrpc.jp/