委託先団体：一般財団法人 光産業技術振興協会
１．事業概要
精密レーザー加工で用いられる空間光位相変調器（SLM：Spatial Light Modulator）を電池封止の溶接、3Dプリンタの積層造形などのレーザー加工市場へ適用拡大する。
現状は200W程度までのレーザー光耐性を有する位相制御技術しかなく適用できていないが、生産性向上のため、高出力のレーザー光耐性のあるSLMが求められている。
レーザー光耐性向上のために使用される液晶材料の耐熱性や熱的安定性を高めるのに加え、SLMから出力されるレーザー光の位相制御と検出技術の高精度化を行い、非対称レーザー光強度分布を実現するため仕様調査、市場戦略の明確化を行う。
２．事業の目的
背景・必要性
レーザー光は、通信はもとより加工・計測等の産業分野において広く普及し、重要な役割を果たしている。
特にレーザー光源の高出力化が著しく、ハイテク分野での不可欠な加工ツールとして活用されており、更なる生産性の高いレーザー加工技術が求められている。
これを行うための有望な技術として、空間光位相変調器（SLM：Spatial Light Modulator）が注目されている。
対象領域
高品質化と生産性向上が求められる電池封止の溶接、3Dプリンタの積層造形などでその有用性が期待されている領域を対象とする。
３．事業の内容（技術的、機械システム構成上の課題と実施事項）
技術的な課題、機械システム構成・開発上の課題
・SLMのレーザー光耐性向上
・非対称光強度分布の活用
・SLM位相制御とその検出技術
課題への対応（実施事項と課題解決のアプローチ）
| 実施事項 | 実施内容（令和5年度で実施） |
| SLMのレーザー光耐性向上 | SLMのレーザー光耐性試験を実施し、現状のSLMレーザー光耐性向上の課題を明確にする。 |
| 非対称光強度分布の活用 | 非対称光強度分布の有効性評価を実施し、有用性を明確にする。 |
| SLM位相制御とその検出技術 | 各分野で要望される光強度分布に適したSLM位相制御とその検出技術を明らかにするために、ユーザ及びメーカからのヒアリングを実施する。 |
４．社会導入、事業化の戦略検討
社会導入、事業化に向けた課題
レーザー加工へ位相制御技術を導入することによる高品質化と生産性向上によるレーザー加工市場の拡大。
具体的には技術的な課題、機械システム構成・開発上の課題に対し、市場調査、仕様調査、評価などを行い、社会導入を目指す。
社会導入、事業化に向けた実施事項
＜電池封止溶接＞
SLMによる位相制御を活用した溶接における非対称光強度分布を利用したプロセスの安定化
図１ アルミ電池製造プロセスにおける封止溶接
＜3Dプリンタ積層造形＞
SLMによる位相制御とレーザー光耐性向上による高出力化を活用した積層造形プロセスの高速化
図２ ３Dプリンタにおける積層造形
５．実施体制
プロジェクトリーダー： 岡本 康寛（国立大学法人岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域 准教授）
プロジェクトマネージャー： 杉立 厚志（一般財団法人光産業技術振興協会 開発部部長代理）
戦略策定委員会委員長： 山本 和久（国立大学法人大阪大学 レーザー科学研究所 教授）
６．お問い合わせ先
イノベーション戦略策定事業全般：（一財）機械システム振興協会
URL: https://www.mssf.or.jp/
本事業の詳細：（一財）光産業技術振興協会
URL: http://oitda.or.jp/