委託先団体:一般財団法人 ニューメディア開発協会
1.事業概要
我が国の建設業界は、労働環境の厳しさ、人口減少などの影響により慢性的な人手不足の状態にある。また、中小建設業の現場においては、作業員の事故やヒヤリハット事例が数多く報告されており、中小建設業の業務について、デジタル化を促進し、現場の安全・安心レベルを高めつつ、生産性向上を図ることが急務となっている。
本事業においては、構造改革に取り組んでいる元請けの中小建設業を中心に、「安全・安心」をテーマとした技術イノベーションを伴う新たな技術領域(危険予知等)における実証を行うとともに、市場ニーズを捉えた当該市場への社会実装に向けた戦略及び廉価なオペレーションシステムの社会導入・事業化に向けた戦略を策定する。
2.事業の目的
背景・必要性
建設業界は、労働環境の厳しさ、人口減少などの影響により慢性的な人手不足の状態にある。特に東北地方は全国に比して労働力不足が顕著であり、他方、度重なる自然災害の早期復旧などへの対応が求められ、長時間労働を余儀なくされるなど、建設現場の状況は一層厳しいものとなっている。
また、中小建設業の現場においては、作業員の事故や、ヒヤリハット事例が数多く報告されており、中小建設業の業務について、デジタル化を促進し、現場の安全・安心レベルを高めつつ、生産性向上を図ることが急務となっている。
対象領域
本戦略策定事業では、下請け構造等の課題がある建設業界において、構造改革に取り組んでいる元請けの中小建設会社を対象領域とし、技術イノベーションを伴う新たな技術領域における実証を行い、元請け中小建設業の建設現場における市場ニーズを捉えた当該市場への実装に向けた戦略ロードマップを策定する。
これにより、将来的に当該市場への廉価なオペレーションシステムの提供と普及を目指していく。
3.事業の内容(技術的、機械システム構成上の課題と実施事項)
技術的な課題、機械システム構成・開発上の課題
(1)建設現場の事故等を未然に防ぐための危険行為の予測や疲労推定等につながる手法が未確立となっている。
(2)安全ガイドは存在しているが、ITが効率的に活用されておらず、目視に頼っている状況にある。特に、危険行為の予測や疲労の推定を可能とするアラートの仕組み作りができていない。
課題への対応(実施事項と課題解決のアプローチ)
(1)現場作業者の作業行為から派生する行動情報(動作データを用いた作業の基本動作)を認識・収集し、危険行為の予測や疲労推定等、現場での事故等を未然に防ぐための「行動の見える化」及び「安全・安心な工事施工における「業務のモデル化」を検討する。
(2)危険行為が事故につながる危険リスクの設定及びその精度向上に向けた対応について検討する。
(3)実用性の高いアラートシステムの開発とサービス提供について検討する。
(4)業務改善に向けた業務モデルの変更とアラートシステムのアップデートに向けた対応について検討する。
4.社会導入、事業化の戦略検討
社会導入、事業化に向けた課題
(1)費用対効果を明確にした上で、現場への導入が必要である。
(2)工事成績評定につながる仕組み作りが必要である。
(3)社会導入・事業化に向けた段階を踏んだステップ対応が必要である。
社会導入、事業化に向けた実施事項
(1)廉価かつ導入がし易いアラートシステムの提供を検討する。
(2)工事評定につながる取り組み評価に向けた建設業界全体への認知と理解・促進を推進する。
(3)ITを活用した「安全対策」への取り組みの横展開を進める。
5.実施体制
プロジェクトリーダー: 鈴木 守 (エイデイケイ富士システム株式会社)
プロジェクトマネージャー: 千葉 裕之 (ニューメディア開発協会)
戦略策定委員会委員長: 近藤 信一 (岩手県立大学 総合政策学部 准教授)
6.お問い合わせ先
イノベーション戦略策定事業全般:(一財)機械システム振興協会
URL: https://www.mssf.or.jp/
本事業の詳細:(一財)ニューメディア開発協会
URL: https://www2.nmda.or.jp/